事例

管工事業界の
M&A事例25選

現在の管工事業界の動向

現在、管工事業界は、設備の老朽化や建物の建替えの必要性が増えていることから需要が増加傾向にあります。加えて、省エネルギー対策や災害対応策の必要性もあり、管工事業界は今後も発展が期待されています。一方で、管工事業界では多重下請け構造や人手不足などの課題に直面しており、需要が増えているものの事業継続・経営面では厳しい状況に置かれています。

そこで、一部の管工事会社ではM&Aを通じて事業拡大を実現し、競争力の強化・経営の安定化を図る動きがあります。また、事業承継の選択肢としてM&Aを選択するケースも増えており、金融機関や公的機関も事業承継支援の体制を整えています。

管工事業界でM&Aを選択するメリット

管工事業界でM&Aを選択するメリットは下記のようなものがあります。

競争力の強化

管工事業界は多くの企業が競合しており、市場シェアの拡大や技術力の強化が求められます。M&Aを通じて他社との統合や事業の拡大を図ることで、競争力を強化することができ、規模の拡大により、大型案件や一貫施工の需要にも柔軟に対応できるようになります。

コア事業の拡大

M&Aによる事業の統合や買収により、パイプラインや設備、技術力などのコア事業を強化することができます。これにより、より幅広いニーズに対応し、利益を最大化することができます。また、新たな市場に参入することで、収益源の多様化を図ることも可能です。

人材の活用

M&Aによる統合や買収は、その中に吸収される企業の人材のスキルや経験を活用する機会にもなります。他社から業界経験を持つ人材を獲得することができ、企業の技術力や品質向上につなげることができます。

管工事業界のM&A事例25選

管工事業界ではどのような形でM&Aが行われているのか事例をあげてご紹介します。

事例1 日本エコシステムと葵電気工業のM&A

2023年1月、公共サービスや交通インフラに関する事業を行っている日本エコシステムは、商業施設等の空調・給排水設備工事を行っている葵電気工業の全株式を取得し子会社化しました。

今回の譲受により日本エコシステムは、ファシリティ事業でのサービス提供範囲拡大を図るとともに、業容拡大による新規取引先開拓も期待するとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:97,920株(100%)・3億1,500万円(概算額)

事例2 北陸電気工事と蒲原設備工業のM&A

2022年12月、設備工事業(電気工事、管工事等)を行う北陸電気工事は管工事業等を運営する蒲原設備工業の全株式を取得して子会社化しました。

蒲原設備工業を子会社化することにより、新潟方面への事業進出における足掛かりとなるとともに、北陸エリア及び関東方面での商圏拡大が見込めるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:400株(100%)・非公開

事例3 日鉄パイプライン&エンジニアリングとキャプティのM&A

2022年10月、パイプライン及び関連設備のエンジニアリング事業等を行っている日鉄パイプライン&エンジニアリングは、設備工事や導管工事を行っているキャプティの導管工事事業を吸収分割しました。

今回のM&Aにより両社の導管工事事業の強化と企業価値の向上を図るとしています。

譲渡形態:吸収分割
取引価額:非公開

事例4 前澤化成工業と常陽水道工業のM&A

2022年10月、上水道・下水道関連製品の生産・販売等を展開する前澤化成工業は管工事業を運営する常陽水道工業の株式91.93%を取得し子会社化しました。

前澤化成工業は技術・ノウハウの融合を期待すると共に、両者の得意とする公共事業・民間事業への取り組みを共に進め、事業基盤強化と収益力向上を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:73,545株(91.93%)・非公開

事例5 日本電技とエアフィールドのM&A

2022年7月、総合エンジニアリング事業を展開する日本電技は、空調設備機器の工事およびメンテナンスに係る業務を行っているエアフィールドの全株式を取得し子会社化しました。

日本電技は、中部地区のメンテナンス事業の協力会社であったエアフィールドを中核的な存在として育成し、グループとしてメンテナンス事業の体制強化および品質向上を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取引価額:非公開

事例6 邦徳建設とサニーダのM&A

2022年5月、総合建設業を行っている邦徳建設は給排水管の設備・更生工事を手がけるサニーダの全株式を譲受し、子会社化しました。

受注拡大が見込めず事業継続が困難なサニーダの事業領域に、リソースを傾注することが難しいとの判断があり、邦徳建設ではサニーダの取引顧客との関係維持が期待できるため譲渡に至りました。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:992,000株(100%)・992,000円(概算額)

事例7 ウェーブロックホールディングスとエイゼンコーポレーションのM&A

2022年4月、ウェーブロックホールディングスはプラスチックシート・フィルム、その他加工製品等の販売を行う子会社のイノベックス通じて水道施設工事・土木工事・管工事等を行うエイゼンコーポレーションの全株式を取得し、孫会社化しました。

今回のM&Aにより、ウェーブロックホールディングスは新たな成長分野として位置づけている地中熱ビジネスを推進させると共に、設計業務への対応力の担保が期待できるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:960株(100%)・非公開

事例8 日工と宇部興機のM&A

2022年3月、土木用プラント、建設機械等の製造販売を展開する日工は、油圧配管工事・鋼構造物工事などを運営する宇部興機の全株式を取得し子会社化しました。

日工は両社の技術・ノウハウ等を共有することで、グループの新規事業の拡大を進め、企業価値の向上・持続的な成長を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取引価額:非公開

事例9 エクシオグループと光陽エンジニアリングのM&A

2022年1月、エンジニアリングソリューション(通信キャリア・都市インフラ)、システムソリューションを手がけるエクシオグループは空調・給排水衛生・防災設備などの設計施工および保守管理を行う光陽エンジニアリングと株式交換を行い、同社を子会社化しました。

エクシオグループは本株式交換により、光陽エンジニアリングが得意とする管工事などの分野での相互協力や顧客基盤の更なる強化を通じて企業価値の向上を目指すとしています。

譲渡形態:株式交換
株式交換比率: エクシオグループ1:光陽エンジニアリング1000

事例10 TVEと太陽電業のM&A

2022年1月、各種バルブの製造販売及びメンテナンス、各種鋳鋼製品の製造販売を行うTVEは、電気工事や管工事を手がける太陽電業の株式を取得し、子会社化しました。

今回の譲受により、それぞれが持つノウハウとリソースを連携・協調させることで様々な相乗効果を発揮し、より一層の企業価値向上を⽬指すとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:56,000株(100%)・非公開

事例11 アイナボホールディングスとマニックスのM&A

2021年10月、戸建住宅事業や大型物件事業を展開しているアイナボホールディングスは、管工機材の販売および施工事業を行っているマニックスの株式を取得し子会社化しました。

双方の営業地域が補完関係にあることを活かし、工事力や企画力について情報交換を行うとともに、販売網の拡大に協力することにより、両社の収益性の向上を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:24株(100%)・非公開

事例12 ヨシックスホールディングスと芝産業のM&A

2021年10月、事業子会社の支配・管理等を行うヨシックスホールディングスは、店舗内外装の設計・ダクト・給排水衛生などを行う芝産業の全株式を取得し子会社化しました。

ヨシックスホールディングスは、グループ外顧客との取引拡大によるグループ売上、利益の増大を図るとともに、首都圏エリアにおいてもスピーディーかつ低コストの出店を一層レベルアップさせ、グループ全体の価値向上を目指すとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:20,000株(100%)・非公開

事例13 四電工と横山工業のM&A

2021年4月、建築設備工事、電力供給設備工事等を行っている四電工は、空調・管工事、機械器具設置工事の設計・施工を行う横山工業の全株式を取得し子会社化しました。

今回の譲受で四電工は東京本部との営業面・施工面での協力関係を構築し、首都圏近傍のエリアにおいて、総合設備企業としての収益基盤のさらなる拡充を目指すとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:20,000株(100%)・非公開

事例14 協和日成とガイアテックのM&A

2021年4月、ガス工事、建築・設備工事などを行う協和日成は、ガス工事や冷暖房・給排水衛生設備工事を手がけるガイアテックの全株式を取得し子会社化しました。

今回の譲受により両社の経営資源の共有、事業連携の強化を進めることで、高いシナジー効果が期待でき、当社の持続的成長、企業価値の向上につながるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:189株(100%)・非公開

事例15 トライと小林工業のM&A

2021年3月、情報通信設備工事やシステム設計・置局・施工等を展開するトライは、土木工事、とび・土工工事、管工事等を展開している小林工業の全株式を取得し子会社化しました。

無線設備の建設工事業者として業容拡大を続け、今後総合建設業者としてのさらなる成長を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:412,500株(100%)・非公開

事例16 イシイ設備工業と東海管工のM&A

2021年2月、空気調和・換気設備工事・冷暖房設備工事等を手がけるイシイ設備工業は、給排水衛生設備工事や空調換気設備工事などを行う東海管工の株式を取得し子会社化しました。

東海管工は新たにイシイ設備工業のグループに入ることで後継者不在の問題を解消し、今後の従業員の安定した雇用を確保し、またイシイ設備工業は経営資源を拡充することで、現在手がけている事業エリアを拡大することが可能になり、さらなる事業の発展が期待されるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:非公開

事例17 コムシスホールディングスと朝日設備工業のM&A

2020年10月、電気設備工事業・情報通信工事業等を展開するコムシスホールディングスは管工事・水道施設工事等を行う朝日設備工業と株式交換を行い、同社を子会社化しました。

今回の譲受により、両社の強みを活かした広範囲な事業展開と経営資源の連携によるシナジーの最大化を追求し、グループとしての成長戦略を強力に推進することによって企業価値の向上を図るとしています。

譲渡形態:株式交換
株式交換比率: コムシスホールディングス1:朝日設備工業4.20

事例18 ユアテックと空調企業のM&A

2020年9月、総合設備エンジニアリング企業のユアテックは、冷暖房設備工事や空調機器類の販売を行っている空調企業の全株式を取得し子会社化しました。

今回の譲受により施工体制の強化が図られるとともに、営業面でシナジー効果が期待できるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取引価額:非公開

事例19 高田工業所と渡部工業のM&A

2020年7月、製鉄所や発電所の設備工事を請け負う高田工業所は産業プラントの配管工事・メンテナンスを手がける渡部工業の全株式を取得し、子会社化しました。

高田工業所はグループにおけるプラント事業の事業基盤の強化および拡大を図るとともに、エリアの拡大を目指すとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:200株(100%)・非公開

事例20 第一カッター興業とユニペックのM&A

2020年4月、給排水設備の高圧洗浄・建造物の保守点検・補修業務等を行う第一カッター興業は、プラント内配管や熱交換器などの洗浄工事などを行うユニペックの株式を取得し子会社化しました。

第一カッター興業は、ユニペックの築き上げてきた特化した技術と高いサービス、人材を活用することで中核事業を補完・強化するとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取引価額:2億4,500万円(概算額)

事例21 ラックランドと環境装備エヌ・エス・イーのM&A

2019年10月、商空間の総合サービスを提供しているラックランドは、冷暖房・給排水設備の施工管理等を行う環境装備エヌ・エス・イーの全株式を取得し子会社化しました。

ラックランドは、関東圏を中心として空調・給排水衛生工事の技術力およびコスト競争力アップを図り、営業面や購買面でシナジーを発揮することで新たな利益創出を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:600株(100%)・非公開

事例22 四電工と菱栄設備工業のM&A

2018年12月、建築設備工事、電力供給設備工事等を行っている四電工は、給排水・衛生設備工事、空調設備工事を行う菱栄設備工業の全株式を取得し子会社化しました。

電気設備工事業を主事業としている四電工は、菱栄設備工業の空調・管工事を合わせることで総合的なサービスが提供できるようになり、収益力の向上が期待できるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:400株(100%)・非公開

事例23 アサノ大成基礎エンジニアリングと三協建設のM&A

2018年9月、建設関連の総合エンジニアリング企業であるアサノ大成基礎エンジニアリングは土木、建設、管工事、宅地建物取引業を手がける三協建設の株式を取得し、子会社化しました。

静岡県を中心に豊富な業務実績がある三協建設を子会社化することで、建築分野において、更に多くのソリューション提供を目指すとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:非公開

事例24 OCHIホールディングスと太陽産業のM&A

2018年8月、建材・住宅設備機器の卸売りを主力として展開しているOCHIホールディングスは、冷凍冷蔵や空調機器などの販売や管工事等を手がける太陽産業の全株式を取得し、子会社化しました。

今回の譲受により、OCHIホールディングスは太陽産業を非住建分野の中核企業として位置付け、東日本地区における事業展開の強化を図るとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取得株式数・取引価額:1,000株(100%)・約18億円(概算額)

事例25 九電工とエルゴテックのM&A

2018年3月、九州地方を中心に電気設備工事を展開する九電工は、空調・給排水・衛生工事などを行うエルゴテックの株式を追加取得し子会社化しました。

今回の譲受により両社は将来の成長・発展に向け、保有する経営資源を相互に補完・活用し、シナジーを高めるとしています。

譲渡形態:株式譲渡
取引価額:非公開

まとめ

管工事業界では、後継者問題や事業拡大のニーズなどが背景にあり、年々M&Aを選択する企業が増加しています。管工事業界におけるM&Aは、会社の成長や事業承継のための重要な手段となっています。事業承継を考えている経営者や事業主は、M&Aの流れを押さえながら、自社の将来を見据えた戦略的な判断をする必要があるでしょう。

管工事業の譲渡・譲受をご検討の方はぜひお気軽にお問い合わせください。