コラム
M&Aを活用した
支店設置と国土交通省大臣許可の取得
建設業許可には都道府県知事許可(以下、知事許可)と国土交通省大臣建設業許可(以下、大臣許可)の2つの種類があります。
どちらを取得すればいいのか、又はどうすれば大臣許可を取得することができるのか、悩まれる方は多いことでしょう。
まず、知事許可と大臣許可の違いについて、また大臣許可の要件についてご説明します。
知事許可とは
知事許可とは都道府県知事が許可を出す建設業許可のことを指します。
これは、建設業を営む主たる営業所の所在地の都道府県に申請することとなります。
建設業法上では、主たる営業所において、工事の見積・契約・入札行為等を行うとされており、この行為を行う営業所を建設業法上の営業所と呼びます。
ここでよくご質問いただくのが、知事許可を持つ業者が他県で工事を行えるのかということです。 例えば、東京都の知事許可を持つ業者が千葉県で工事を行えるのかといった具合です。 こちらについては、建設業法上の営業所である主たる営業所において、工事の見積・契約・入札行為等を行えば、他県で工事を行うことは問題ありません。
大臣許可とは
大臣許可とは、国土交通省大臣が許可を出す建設業許可の事を指します。
ゼネコンやある程度規模の大きな業者が大臣許可を持っているイメージがあるかと思いますが、知事許可との違いは、建設業法上の営業所の数にあります。
大臣許可は、建設業を営む主たる営業所を本店とし、その所在する都道府県とは別の都道府県に、建設業を営む営業所、いわゆる支店を設置できる許可となっています。
大臣許可のメリット
大臣許可のメリットはもちろん、本社や主たる営業所とは違うエリアに根をはり、事業を行うことのできる点でしょう。多店舗展開に成功すれば、その分当然に売上は増加します。
また公共工事入札に関しては、地元の業者が有利になるとされているため、公共工事入札の観点からもメリットがあると言えます。
また、大臣許可を持っているということで、企業のある程度の規模感を示す指標にもなり、信用にも繋がるでしょう。
大臣許可の高いハードル
しかし、大臣許可には高いハードルがあります。それは、技術者人材です。
大臣許可を取得する場合、すべての営業所に取得する許可業種に係る専任技術者が必要です。
これは国家資格者か10年実務経験者でなければなりません。
加えて、工事を行うには専任技術者の他に、現場に配置技術者を置かなければならず、配置技術者は専任技術者と同等の要件となっています。
本店である主たる営業所とは別に、支店である営業所にもこれらの技術者人材を確保し常駐させるのは、大きなハードルといえます。
M&Aを活用した支店設置
その中で大臣許可はM&Aとは相性が良いと言えます。
既に知事許可を持つ業者が、他県の知事許可を持つ業者をM&Aをした場合、もともと許可を持っていたということは技術者人材要件をクリアしている業者であるため、容易に大臣許可として切り替えることが可能です。
そのため、M&Aを活用すれば、他県の知事許可業者を支店として取り込み、建設業許可を大臣許可に切り替えたうえで新たなエリアにスピード進出といった期待ができることでしょう。
M&Aは上述した支店設置としての活用に留まらず、企業規模拡大のスピード成長戦略として建設業界でも注目を浴びています。