コラム

工事現場に配置する技術者について

建設⼯事の適正な施⼯を確保するためには、施⼯する⼯事現場に、定められた要件に合致する技術者を設置し、施⼯状況の管理・監督をしなければなりません。
この記事では主任技術者及び管理技術者の要件や職務について詳しく説明しますので技術者の適正配置ができるようになります。

主任技術者及び監理技術者の配置義務

建設業者は、請け負った建設⼯事を施⼯する場合には、請負⾦額の⼤⼩、元請・下請に関わらず、必ず⼯事現場に施⼯の技術上の管理をつかさどる「主任技術者」を設置しなければなりません。

また、いわゆる特定建設業許可の要件である、元請として発注者から直接⼯事を請け負い、かつ4,500万円(建築⼀式⼯事の場合は7,000万円)以上を下請契約して施⼯する場合、主任技術者に代えて「監理技術者」を設置しなければなりません。
この主任技術者・監理技術者は、建設業許可の要件である、建設業法上の専任技術者とは異なります。
専任技術者は「営業所に常駐」する必要があり、主任技術者・監理技術者は「工事現場に配置」する必要があります。
(常駐までは求められていません。また、専任技術者とは別の技術者の配置が必要です。)

主任技術者及び監理技術者の職務

主任技術者及び監理技術者は、建設工事を適正に実施するため、

  • 建設工事の施工計画の作成
  • 工程管理
  • 品質管理及び工事の施工に従事する下請け業者等の技術上の指導監督

の職務を誠実に行わなければなりません。

主任技術者・監理技術者の要件

主任技術者・監理技術者は、建設業法上の専任技術者に準ずる資格又は経験を有する者とされています。
建設業許可を取得する際と同じ、建設工事の内容に合致した所定の国家資格又は、その建設工事の10年間の実務経験です。
監理技術者の場合は特定建設業の専任技術者要件を満たす必要があるため、一級資格者であることが前提となります。

雇用関係について

主任技術者⼜は監理技術者については、⼯事を請け負った建設業者との間に「直接的 かつ恒常的な雇⽤関係が必要」とされています。
そのため、基本的にはグループ会社からの出向社員なども認められていません。
(専任技術者は出向社員も可とされています。)
しかし例外として、企業集団として認められた会社間では出向社員も可とされています。

配置技術者の企業集団制度について

建設工事を行う親会社とその連結子会社からなる企業集団内において、親子間及び連結子会社間の在籍出向社員を監理技術者等として配置可能となっています。
これは企業集団制度と言われるもので、国土交通省による確認を受けることにより、企業集団内(一の親会社とその連結子会社間)において親会社とその連結子会社間の出向者を監理技術者等として置くことができるとされており、企業集団から国土交通省に対して企業集団確認の事前の申請が必要となっています。(親会社と子会社の連結が前提条件です。)

主任技術者・配置技術者の適正配置を

建設業に係る法令は、厳格な制度があらゆる活動に多岐にわたり張り巡らされているにも関わらず、内容が複雑で難解となっており、加えて行政への相談窓口もわかりづらいものとなっているため、建設業者の方々からは法令に関する多くのご相談をいただきます。
適正運営のためには、専門家の力を借りたり行政の情報を取りに行ったりと、日頃からの情報収集の努力はとても大切だと言えるでしょう。

ライター紹介
道原 信治
道原 信治 氏
行政書士法人Dee 代表行政書士