コラム

公共工事の入札参加にM&Aが有効な一手?!
~M&Aを活用した公共工事への入札参加~

日頃からいたるところで公共工事の現場を見かけることはよくあることかと思います。
道路の舗装工事、小学校の改修工事、旧役所施設の解体工事など。
あの公共工事はどういった仕組みで請負うことができるのか。
建設業者であれば気になるところでしょう。

入札に参加し、公共工事を請負うことができる。

一般的に公共工事を請け負うためには入札に参加する必要があります。
公共工事といっても様々な種類があり、また入札の参加に係る発注先の行政も
省庁や都道府県・市区町村、国立機関など多くの選択肢があります。
しかし、入札に参加すると行っても具体的にどうすれば良いのか
イメージが湧きにくいかもしれません。

建設業許可業者であれば誰でも入札に参加ができる

建設業許可を取得している建設業者であれば、誰しも公共工事を請負うことができます。 公共工事の入札制度は、公共工事の規模と建設業者の規模に合わせてランク付けがされており、自社の規模にあった公共工事の入札に参加ができるようになっています。

経営事項審査を受ける必要がある

それでは、どうやって公共工事に参加ができるのかをご説明いたします。
建設業許可を取得している建設業者は経営事項審査を受けることができます。
この経営事項審査とは、建設業者の決算の状況や資産、工事実績、専門工事に係る資格者や実務経験者の技術者人材、推奨制度の加入、その他数多くの事項を点数化し、建設業者を客観的に評価できるようにしたものです。
この経営事項審査の受けることにより、会社が点数化され、各行政の入札参加資格を得る手続を受けることができます。

入札参加の資格を得る必要がある

経営事項審査を受けた後、入札に参加したい行政に対して入札参加資格申請を行い、
入札参加資格を得る必要が有ります。
この入札参加資格申請により、建設業者の入札上のランクと言われる「等級」が決定します。
この等級は各公共工事の入札案件にも設定がされており、この等級を基準に、建設業者が参加できる公共工事の規模が決定します。
例えば、Cの等級の入札案件の募集が出た場合には、入札参加資格申請でCの等級を得た建設業者がその入札に参加できる、といった具合です。
また、この入札参加資格については、資格を得てから数年の有効期限があることが一般的です。
東京都など都府県の入札参加資格については、請負金額の大きな民間工事や公共工事等の企業の請負実績が等級決定に関わってくるものとなっています。

公共工事のメリット

公共工事の入札に参加する大きなメリットとしては次のようなものが挙げられます。

【売上が上がる】

公共工事を落札すると、元請業者の立場で工事を施工することになります。
多重下請構造である建設業において、元請業者であることは、
売上単価・利益率が高くなるため、大きなメリットであると言えます。

【資金繰りが良くなる】

民間工事と異なり、公共工事では売掛金が回収不能となるリスクがありません。
加えて公共工事は一部を前受金としてもらえることがほとんどです。
そのため、資金繰りの面から大きなメリットとなります。

【信用力が上がる】

行政から公共工事を請け負ったことは、地域や取引先・金融機関に対してや人材採用に関してアピールできる実績となることでしょう。
また、例えば〇〇町のあの工事はうちがやったんですと、わかりやすく実績を示すことができることもあります。

入札参加にはM&Aが有効な一手

前述した通り、入札参加の前提手続きである経営事項審査・入札の参加資格申請には、
企業の工事実績、保有している技術者人材等が加点・ランク付けの大きな条件となっています。
そのため、これらの条件を満たすことの難しい新設法人や建設業界への新規参入法人が
いきなり大きな公共工事の入札を検討することは難しく、地道に実績を積み、
技術者人材を確保し、数年後に小さな公共工事から狙い徐々に大きな公共工事へ挑戦していく、といった方法が一般的と言えるでしょう。

しかし、昨今ニーズの高まっているM&Aを活用することにより、豊富な工事実績とともに資格者や実務経験のある技術者人材等を確保し、そのまま希望の規模の公共工事の入札への参加体制を構築することが可能となります。
また経営事項審査・公共工事の入札制度に関わらず、事実上、新興企業が不利な側面を持つ行政制度は多く存在します。
経営事項審査・公共工事の入札制度の大前提となる建設業許可の取得でさえも、
新興企業は相当なハードルがあると言えます。
M&Aは、そのような課題を突破するための有効な一手と言えるでしょう。

ライター紹介
道原 信治
道原 信治 氏
行政書士法人Dee 代表行政書士