コラム

一括下請けに注意!
人材の常勤性と技術者の適正配置の義務

建設業者において、法令に沿った適正な人材を法令に沿って適正に配置し、かつ当該人材の常勤性をしっかりと担保するということはとても大切です。建設業者のM&Aを行う際にも専門家が注意深く確認をする建設業を営む上で最も大切な事の一つです。
また昨今、知名度のある大きな企業において、技術者の常勤性や適正配置を担保できておらず行政処分が下されたというケースが実際に起こり、業界では話題になりました。
今回は人材の常勤性と技術者の適正配置について解説します。

常勤性とは

建設業法上の常勤性とは、営業時間内にその企業で職務に常時従事している方を指します。一般的には正社員であることが求められますが、役員や契約社員等でも建設業法上の常勤性を満たすことが可能です。
常勤性が求められる人材例として、建設業法上の常勤役員等(旧経営管理責任者)、専門工事に関わる営業所技術者、現場で施工管理を行う配置技術者が代表的なところです。これらの人材は常勤性を当然に担保した上で、しかるべき場所に適正配置することが必要です。

一括下請けの禁止

企業規模が大きくなっていくと請け負った工事を実際に自社で施工せずに下請け業者にお願いすることは多くなっていくことでしょう。多重下請け構造の建設業者においてそれは一般的で、大きな企業が下請けにお願いし、その下請けがさらに下請けにお願いし…の連鎖が工事規模に応じて広がっていくものです。
その中で、しっかりと前述した配置技術者を適正配置しているかどうかはとても重要な事となっています。
元請け業者をはじめ、下請けに工事をお願いする企業は、現場を施工管理する義務があります。これを破り、元請けが施工管理する配置技術者を置かず、元請けが工事にまったく関与することなく、すべて下請けに任せてしまう行為は一括下請けといって禁止行為に当たってしまいます。 この一括下請けは国土交通省が力を入れて取り締まっているところです。

【一括下請けの判断基準の例】
下記を行った場合に一括下請けに該当しうるとなります。

○工程管理について
・元請(発注者から直接請け負った者) 建設工事全体の進捗確認、工程調整
・下請(上記以外の者) 請け負った工事の進捗確認

○品質管理について
・元請(発注者から直接請け負った者) 下請負人からの施工報告確認、必要に応じた立会確認
・下請(上記以外の者) 請負った工事の立会確認(原則)、施工報告

法令遵守の大切さ

中規模な建設業者において、知識がなく、実際に自社が建設業法を満たしていなかったというケースもよくあると聞きます。特に人材においては人手不足が進み、確保が困難となっていますが、昨今ではM&Aなどを駆使し頼れる建設業法の専門家とともに要件を満たした企業を見つけることも可能となってきています。
建設業は社会に密接に係るインフラを創る特殊な事業であり、人々の安全な暮らしに直結するもです。そのため、建設業法を遵守することは当然に徹底をしなければなりません、知らなかったでは済まされない、それが建設業法です。

ライター紹介
道原 信治
道原 信治 氏
行政書士法人Dee 代表行政書士